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Channel: グルマンピュスのフランスレストラン紀行
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01月05日(金)サンシング

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ven. 5 jan. 2007 Sensing

2006年最後のレストランは、理性を忘れてとにかく好き!好き!好き!と抱きつきたくなるような、夏に開いたばっかりのミシェル・デル=ビュルゴのレストランだった。
2007年最初のレストランは、同じく06年夏にオープンした「サンシング」。こちらは、理性的に好き好き好きよ、な、巨匠ギー・マルタンが手がけるカジュアルシックなレストラン。

年末に発刊された高級雑誌で、タキシードを着こみ腕にリシャール・ミルの時計をはめていた見目麗しいギーちゃん。本当にどうしてこうも、ギーちゃんて、雰囲気あってきれいな男なんだろう?
そんなギーちゃんの洗練されたセンスは、「サンシング」の内装に反映されている。
シックビューティフルなデコは、リュクサンブール公園横の左岸の雰囲気ではなく、右岸は8区にありそうな感じ。モダンな洗練があって居心地いい。
ギーちゃんの経営といっても、料理には特にタッチしていなくて、昔ヴェフールで働いていて「ラセール」のスゴンをしていた料理人をシェフに据え、全面的に彼のクリエーションに任せている。
若くハンサムなこのシェフが、なかなかいい。イヤになるくらい素材にこだわり、正統派の技術をきっちり操った彼の料理は、料理の原点である素材と火入れがマル。シンプルに飾らず、誠実な感じで、とても好感が持てる。

賑やかなアミューズに続く前菜は、「リ・ドゥ・ヴォーとポワローのテリーヌ、ジャガイモ」添え。ジャガイモもリ・ドゥ・ヴォーも好きな私の琴線にピタリと張り付いた一皿。繊細なリ・ドゥ・ヴォーと甘く柔らかなポワローにトリュフの香りが品よく巻きついている。粗引きコショウが絶妙のアクセント。仔牛のフォンのソースに料理人の実力を感じる。丁寧にオイルと和えたジャガイモとのハーモニーもよく、ビストロ料理の洗練版、というイメージだ。

仔豚と散々悩んで選んだ仔鹿。愛する豚を捨てた悔いは全然ない。どこで火入れ習ったんだろう?と思う、完全に温度を制御した火入れにまず感心する。深みのあるソースも上手だし、シンプルな根セロリのピュレも力が入りすぎていなくていい。
全体的に、これ見よがしでなく、一歩引いた控えめな魅力。これって、ギーちゃんの魅力につながるなあ。

おやつは、マンダリンオレンジ3変化を選んだけれど、これは普通。でも、友人が食べたポワール・ベル・エレーヌは素敵だ。クラシック中のクラシックである、洋ナシのポシェにショコラソースがけというデセールに、私は今まで感動したことがなかったけれど、ここのはすごい。とろけるようなポワールはきちんと味が残っているし、アツアツのショコラも香り高く、切れのよい生クリームもいい。ショコラを堪能できるように、とブリオッシュがついてくるのも嬉しい。
「こういう典型的なフランスのデセールの美味しさを、今の時代に即したやり方で見せたいんだ」と、シェフは言う。
今後はいつも、この手のクラシックおやつをオーダーします、シェフ。

なかなかよい店で2007年のレストランめぐりをスタートできてよかったね。さて、今年はどんな美味しい感動が待っているのかしら?

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