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lun.22 jan. 2007 Chez Geraud
31 rue Vital 75016 Paris 01 45 20 33 00
とってもいい素材を使ったビストロ料理って、実はなかなかお目にかかれない。
ビストロ=安くて美味しい、というスタイルがある程度固まっているので、街場のビストロの多くは、庶民的な食材を多く使っているケースが多い。もちろんたまに例外はあって、たとえば「ブノワ」や「ラミ・ルイ」なんて、その典型。間違ってもビストロ値段とは言えない、驚くような請求書が渡されるけれど、使われてる贅沢で質のよい食材とその味を考えれば納得できる。
「シェ・ジェロー」も、先に挙げた2軒ほどまでとは行かないけれど、贅沢部類に入るビストロだ。
寒い寒い冬の夜。人通りもまばらな閑静な16区の住宅街を歩き、角地にある大きな店のドアをくぐる。
最初の感想は、うわあ、16区!
すでに美味しそうな顔で食事をしている人たちの身のこなしや洋服、セルヴールたちのエレガントさ、オーナーの品のある笑顔。そうか、16区のビストロってこんなに上品な空間なんだね。
オーナーのサジェスチョンに従い今宵の食事はシャンパーニュで通すことにする。ビストロでシャンパーニュディナー、なんだかちょっと素敵じゃない?逆に考えれば、シャンパーニュにふさわしいビストロ料理が出てくる、と言うことだ。楽しみだね。
お任せコースの最初は、自家製鴨フォアグラのテリーヌ。アルコールの効き方が控えめで、なめらかで甘い鴨のレバーの美味しさが全面的に出ている。ヒンヤリした温度も完璧。生暖かい田舎パンのトーストに一切れのフォアグラをそっとのせて、パクンと食べると、香ばしさと甘さ、温かさと冷たさが完全に溶け合った美味しさが口中に広がる。そこに柔らかな味わいのシャンパーニュを流し込めば、ん~この世は幸せにあふれてる~、としみじみ感じる。
続いて、この店のスペシャリテ、かき卵のトリュフ風味。
冬の珍味の香りをふんだんに漂わせながら、トロトログシュグシュなかき卵が運ばれてくる。かぐわしいバターを内包したコクのある甘い卵と黒トリュフ。ふたつの強い味がぶつかり合って、ものすごく美味。熱く香り高い卵料理がもたらす興奮を冷えたシャンパーニュが包んでくれる感覚が、なかなか気持ちいい。
表面だけコンガリとポワレしたホタテを添えたサラダ。フレッシュでジューシーなアツアツホタテとシャキシャキでヒンヤリしたサラダが、いいコントラスト。
お腹いっぱい。
でもまだ先がある。
本日の主役、ブレス鶏のモリーユ&トリュフ添え。ビストロで、家禽の王様ブレス鶏にお目にかかることってめったいにない。高級鶏なので、どうしても星つきクラスのいいレストランで、いろいろな工夫を凝らした料理になっちゃうんだ。もちろん、ブレス近辺まで足を伸ばせば、いろいろな店でシンプルなロティと出会えるけど、パリじゃまず無理。
そんな中、トリュフとモリーユという2大超高級素材をまとっているとはいえ、根本的にはロティして肉汁をかけただけのこの料理は嬉しい限り。しっとりとしたきめ細かさの中にたくましい筋肉を感じる、味わい深いこの鶏の美味しさがダイレクトに楽しめる。もちろん、肉汁もモリーユとそのソースも上出来。黒トリュフにさほど愛着を感じない私としては、別にここにトリュフがなくてもよかったかも。もちろん、白トリュフなら、死ぬほど乗せて!と思うところだけれどね。
しっかりした味付けの料理をきちんとフォローするシャンパーニュがまた偉い。シャンパーニュのお酒としての鷹揚さを改めて実感する。この世から水とシャンパーニュ以外の飲み物がなくても生きていける、と日頃から思っているけど、やっぱりいいねえ、シャンパーニュって。
締めくくりは、これまたこの店の名物、パリ・ブレスト。コーヒークリームをリング型のシューに挟んだクラシックなお菓子。ヒンヤリしたクレームアングレーズを添えた、ごくシンプルで懐かしいスタイル。めったに食べない伝統菓子を久しぶりに味わう。
ソファシートの横のテーブルには、上品なマダムに連れられた、これまた上品に首をかしげる犬がいる。犬、床じゃなくてソファの上なんだね。こんなところも16区?
タイル張りの絵が飾られた壁際のテーブルでは、ネクタイをきちんと締めたシックな紳士たちが控えめに談笑している。
ワイワイガヤガヤの気の置けない雰囲気とはちょっぴり違う、シックな雰囲気で、一流レストランで使うような質のいい素材をふんだんに使ったビストロ料理を楽しめる。オーナーのジェローさんの魅力とあいまり、今年、レストランガイド「ピュドロ・パリ」で“今年のビストロ”に選ばれた理由はよーく分かる。
ごちそうさまでした、とっても美味しかった!
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lun.22 jan. 2007 Chez Geraud
31 rue Vital 75016 Paris 01 45 20 33 00
とってもいい素材を使ったビストロ料理って、実はなかなかお目にかかれない。
ビストロ=安くて美味しい、というスタイルがある程度固まっているので、街場のビストロの多くは、庶民的な食材を多く使っているケースが多い。もちろんたまに例外はあって、たとえば「ブノワ」や「ラミ・ルイ」なんて、その典型。間違ってもビストロ値段とは言えない、驚くような請求書が渡されるけれど、使われてる贅沢で質のよい食材とその味を考えれば納得できる。
「シェ・ジェロー」も、先に挙げた2軒ほどまでとは行かないけれど、贅沢部類に入るビストロだ。
寒い寒い冬の夜。人通りもまばらな閑静な16区の住宅街を歩き、角地にある大きな店のドアをくぐる。
最初の感想は、うわあ、16区!
すでに美味しそうな顔で食事をしている人たちの身のこなしや洋服、セルヴールたちのエレガントさ、オーナーの品のある笑顔。そうか、16区のビストロってこんなに上品な空間なんだね。
オーナーのサジェスチョンに従い今宵の食事はシャンパーニュで通すことにする。ビストロでシャンパーニュディナー、なんだかちょっと素敵じゃない?逆に考えれば、シャンパーニュにふさわしいビストロ料理が出てくる、と言うことだ。楽しみだね。
お任せコースの最初は、自家製鴨フォアグラのテリーヌ。アルコールの効き方が控えめで、なめらかで甘い鴨のレバーの美味しさが全面的に出ている。ヒンヤリした温度も完璧。生暖かい田舎パンのトーストに一切れのフォアグラをそっとのせて、パクンと食べると、香ばしさと甘さ、温かさと冷たさが完全に溶け合った美味しさが口中に広がる。そこに柔らかな味わいのシャンパーニュを流し込めば、ん~この世は幸せにあふれてる~、としみじみ感じる。
続いて、この店のスペシャリテ、かき卵のトリュフ風味。
冬の珍味の香りをふんだんに漂わせながら、トロトログシュグシュなかき卵が運ばれてくる。かぐわしいバターを内包したコクのある甘い卵と黒トリュフ。ふたつの強い味がぶつかり合って、ものすごく美味。熱く香り高い卵料理がもたらす興奮を冷えたシャンパーニュが包んでくれる感覚が、なかなか気持ちいい。
表面だけコンガリとポワレしたホタテを添えたサラダ。フレッシュでジューシーなアツアツホタテとシャキシャキでヒンヤリしたサラダが、いいコントラスト。
お腹いっぱい。
でもまだ先がある。
本日の主役、ブレス鶏のモリーユ&トリュフ添え。ビストロで、家禽の王様ブレス鶏にお目にかかることってめったいにない。高級鶏なので、どうしても星つきクラスのいいレストランで、いろいろな工夫を凝らした料理になっちゃうんだ。もちろん、ブレス近辺まで足を伸ばせば、いろいろな店でシンプルなロティと出会えるけど、パリじゃまず無理。
そんな中、トリュフとモリーユという2大超高級素材をまとっているとはいえ、根本的にはロティして肉汁をかけただけのこの料理は嬉しい限り。しっとりとしたきめ細かさの中にたくましい筋肉を感じる、味わい深いこの鶏の美味しさがダイレクトに楽しめる。もちろん、肉汁もモリーユとそのソースも上出来。黒トリュフにさほど愛着を感じない私としては、別にここにトリュフがなくてもよかったかも。もちろん、白トリュフなら、死ぬほど乗せて!と思うところだけれどね。
しっかりした味付けの料理をきちんとフォローするシャンパーニュがまた偉い。シャンパーニュのお酒としての鷹揚さを改めて実感する。この世から水とシャンパーニュ以外の飲み物がなくても生きていける、と日頃から思っているけど、やっぱりいいねえ、シャンパーニュって。
締めくくりは、これまたこの店の名物、パリ・ブレスト。コーヒークリームをリング型のシューに挟んだクラシックなお菓子。ヒンヤリしたクレームアングレーズを添えた、ごくシンプルで懐かしいスタイル。めったに食べない伝統菓子を久しぶりに味わう。
ソファシートの横のテーブルには、上品なマダムに連れられた、これまた上品に首をかしげる犬がいる。犬、床じゃなくてソファの上なんだね。こんなところも16区?
タイル張りの絵が飾られた壁際のテーブルでは、ネクタイをきちんと締めたシックな紳士たちが控えめに談笑している。
ワイワイガヤガヤの気の置けない雰囲気とはちょっぴり違う、シックな雰囲気で、一流レストランで使うような質のいい素材をふんだんに使ったビストロ料理を楽しめる。オーナーのジェローさんの魅力とあいまり、今年、レストランガイド「ピュドロ・パリ」で“今年のビストロ”に選ばれた理由はよーく分かる。
ごちそうさまでした、とっても美味しかった!